「スカウトを打っても返信がない」「求人を出しても応募がない」
エンジニア採用に取り組む担当者なら、一度はこのような状況を経験したことがあるのではないでしょうか。
エンジニア採用に苦戦するのは、担当者の力不足でも会社の規模の問題でもありません。採用市場そのものの構造が変わっているからです。
本記事では苦戦の原因と、今日から試せる「改善のコツ」を解説します。構造を理解して動き方を変えれば、突破口は必ず開けます。
目次
エンジニア採用に苦戦する企業が増えている「本当の理由」

エンジニア採用に苦戦しているのは自社だけではありません。市場の構造的な変化が背景にあります。まずは、外的な要因を整理しておきましょう。
IT需要の拡大でエンジニアの争奪戦が激化している
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、エンジニア(情報処理・通信技術者)の新規求人倍率*1は3.36倍(2026年1月時点)で、全職種平均*2の2.11倍を大きく上回っています。
エンジニアの求人倍率の推移を見ると、DX推進やAI活用の拡大とともに高水準が続いており、インフラエンジニア採用など専門性の高い領域ではさらに競争が激しい状況です。
経済産業省の試算*3では2030年には最大約79万人のIT人材が不足するとも予測されています。採用がうまくいかないのは、市場全体が慢性的な争奪戦に突入しているためです。
*1出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年1月分)について(参考統計表)
*2出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年1月分)について
*3出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」調査報告書(2019年3月)
待遇改善が進みエンジニアが転職市場に出てこない
エンジニアの絶対数が少ないだけでなく、転職市場に出てくるエンジニア自体も減っています。
優秀なエンジニアに離職されることを恐れた企業が、給与の引き上げやリモートワークの整備、フレックスタイムの導入など、待遇改善を積極的に進めているためです。
結果として現職に満足するエンジニアが増え、転職を検討するきっかけが生まれにくくなっていると考えられます。
このように、求人をいくら出しても「出会える候補者が少ない」という状況が続いているため、今すぐ転職を考えていない潜在層へのアプローチが採用成功の鍵を握っているといえるでしょう。
フリーランスの増加でエンジニアが正社員を選ばない
正社員採用の難易度が高まっている背景には、働き方の多様化も大きく影響しています。
近年は、フリーランスや副業として働くエンジニアが増加。正社員に比べて収入が高くなるケースもあり、案件や働く時間を自分でコントロールできる環境も広がっています。
その結果、「エンジニア採用は無理ゲー」と感じられるほど、正社員採用の母集団は縮小しています。
特に優秀なエンジニアほど独立という選択肢を持っており、「この会社で働く理由」を明確に示せない企業は、候補者から選ばれにくくなっているのが現状です。
情報発信力のある企業に人材が集中している
採用チャネルが多様化した現在、求人広告だけに頼る企業と、スカウト・SNS・採用広報を組み合わせる企業とでは、候補者との出会い方に大きな差が生まれています。
エンジニアの多くは「今すぐ転職したい」という顕在層よりも、「良い機会があれば話を聞いてみたい」という潜在層です。
自ら求人を検索するのではなく、「面白そうな会社だから話を聞いてみよう」という動機で動くケースも少なくありません。
そのため、情報発信を続けている企業ほど、こうした潜在層に自然と見つけてもらいやすくなります。
エンジニア採用に苦戦する企業の共通点

市場の変化は避けられませんが、自社の採用活動には改善できる余地が必ずあります。ここからは、苦戦している企業に共通する課題を紹介します。
ひとつでも心当たりがあれば、そこが改善のスタート地点です。
採用ターゲットが明確になっていない
「Webエンジニア・経験者優遇」といった曖昧な採用要件では、求める人材像が明確にならず、候補者に刺さる求人は作れません。
採用ターゲットが定まっていない状態では、スカウトを送るべき対象も絞り込めず、面接での評価基準にもバラつきが生じやすくなってしまうでしょう。
その結果、「なんとなく採用したものの期待と異なる」といったミスマッチが起こりやすく、採用の再現性も低下してしまいます。
「待ちの採用」から抜け出せていない
「求人を出しても応募がない」という状況は、待ちの採用が原因になっているケースが少なくありません。
エンジニアの多くは今すぐ転職を考えているわけではなく、自ら求人を探す人は少数派といわれています。
待っているだけでは出会えない人材の方が圧倒的に多いため、スカウトや採用広報など企業側から動く手法への切り替えが、応募数の改善につながるでしょう。
求人票の情報が不足していてエンジニアに響かない
エンジニアが求人票を見るとき、最も気にするのは技術環境です。使用言語・開発フロー・インフラ構成・リモート勤務の頻度・チームの規模といった情報が書かれていない求人票は、エンジニアにとって「判断できないもの」に映ります。
「詳細は面接で」という姿勢は逆効果で、情報が少ない会社を最初から候補から外すエンジニアは多いと考えられます。
開示できる情報は積極的に出すことが、採用力向上の近道です。
給与・待遇が市場相場と合っていない
条件面のミスマッチは、選考途中の辞退に直結します。市場水準を十分に把握しないまま条件提示を行っている企業も多く、「自社では市場水準に合わせるのは難しい」と見直しを後回しにしているケースも少なくありません。
しかし、エンジニアの給与相場は年々上昇しており、市場との乖離を放置すれば、内定辞退が続く悪循環に陥るリスクが高まります。
まずは、自社の提示条件が市場水準とどの程度離れているのかを正しく把握することが重要です。
現場エンジニアが採用活動に関与していない
人事担当者だけでITエンジニア採用を進めると、技術的なビジョンや現場の熱量が候補者に伝わりにくくなります。
候補者が知りたいのは「どんな技術を使っているか」「どんなチームで働くのか」という現場のリアルであり、人事担当者がどれだけ丁寧に説明しても、現場エンジニアの言葉には代えられません。
また、技術スキルの見極めにも限界があり、採用後に「思ったよりスキルが低かった」「チームとの相性が合わなかった」というミスマッチが起きやすくなってしまうでしょう。
エージェント依存で「採用コスト」が上がり続けている
人材紹介の手数料は、一般的に採用者の理論年収の30〜35%程度とされており、IT・エンジニア職ではそれ以上になるケースも少なくありません。
また、エージェントは報酬水準の高い企業を優先する傾向があるため、採用予算が限られる企業は紹介機会を得にくい構造があります。
なお、エコーズが採用支援を行う中では、ハイクラスのエンジニアを対象に理論年収の70〜200%相当の手数料を支払う企業も増えており、エージェント依存が続くほど採用コストが青天井になりかねない実態も見受けられます。
「費用をかけても採れない」という状況に陥る前に、コスト構造を見直すことも重要な視点といえるでしょう。
エンジニア採用の苦戦を打破するコツ

ここまで挙げてきた課題は、いずれも改善の余地があります。では、具体的にどのような解決策があるのでしょうか。
採用ターゲットを具体的に定める
採用活動でまず取り組むべきは、採用要件の言語化です。現場エンジニアにヒアリングし、「必須スキル」と「歓迎スキル」を分けて整理しましょう。
「経験者優遇」といった曖昧な表現のままでは、刺さる求人票もスカウトも作れません。
たとえば「Pythonが書ける人」ではなく「PythonでバックエンドAPI開発の経験が3年以上ある人」のように具体化することで、スカウトの精度も面接の評価基準も上がります。
また、採用要件を現場と人事で共有するプロセス自体が、「どんな人を採りたいか」の認識をそろえることにもつながるでしょう。
ダイレクトリクルーティングで候補者に直接アプローチする
求人広告を出して待つだけでは、今の採用市場で成果を出すのは難しい状況です。そこで、スカウト媒体を通じて企業側から直接アプローチするダイレクトリクルーティングが、エンジニア採用のコツとして多くの企業で実践されています。
重要なのは、定型文の一斉送信ではなく相手のプロフィールを読み込んだ個別メッセージを送ることです。
一斉送信はスカウト返信率を下げる原因になりかねません。送る数より一通の質を高めることが、返信率向上の近道です。
開発環境や働き方を求人票に明記する
エンジニアが応募を決める際、最初に確認するのは技術環境です。情報が少ない求人票ほど離脱されやすく、「詳細は面接で」という姿勢は逆効果です。
<求人票に明記したい情報の例>
| カテゴリ | 記載内容の例 |
| 開発環境 | 使用言語・フレームワーク・インフラ構成 |
| 働き方 | リモート勤務の頻度・フレックスの有無 |
| チーム体制 | チーム規模・役割分担・開発手法 |
| 業務内容 | 担当プロダクト・1日の業務の流れ |
現場エンジニアに協力してもらい、実際の開発環境をリアルに言語化しましょう。具体的な情報が揃うほど、ターゲットに近い候補者からの応募が集まりやすくなります。
関連記事:エンジニア求人票の書き方とテンプレート|応募率を上げる10職種別の具体的例文
給与・待遇を市場相場に合わせる
採用媒体や求人情報サイトなどを活用して競合他社の給与水準を定期的にリサーチし、自社条件が市場からどれだけ乖離しているかを把握する習慣をつけましょう。
給与レンジを幅広く設定して求人票に明示するだけで、候補者の安心感につながり選考途中の辞退を減らす効果が期待できます。
待遇改善が難しい場合でも、技術的な成長環境・リモート制度・フレックスなど給与以外の魅力をしっかり打ち出すことで、総合的な訴求力を高めることができるでしょう。
現場エンジニアを採用活動に巻き込む
面接への同席・スカウト文面のレビュー・採用広報への協力など、現場エンジニアが採用に関わる接点を増やしましょう。
人事担当者がどれだけ丁寧に説明しても、現場の言葉で語られる技術ビジョンや職場のリアルには敵いません。
現場エンジニアがスカウト文面をレビューすることで技術的な訴求精度が上がり、返信率の改善も期待できます。
また、内定後に現場社員との面談を設けることで候補者の不安が解消され、内定承諾率の向上にもつながるでしょう。
採用活動をフェーズ別に数字で管理する
「なんとなく採用がうまくいっていない」という状態から脱するには、数値化が欠かせません。スカウト返信率・面談化率・内定承諾率をフェーズごとに計測することで、どこで候補者が離脱しているかが明確になります。
たとえば「返信率は高いが面談化率が低い」なら、カジュアル面談の設計に問題があると判断できるでしょう。
感覚ではなくデータをもとに改善箇所を特定することが、採用力の着実な底上げにつながります。まずは自社の各フェーズの数値を把握するところから始めましょう。
関連記事:ITエンジニア採用が難しい「本当の理由」とは?エージェントに頼らない採用の始め方
選考スピードを上げて他社への流出を防ぐ
優秀なエンジニアほど、複数社から同時にアプローチを受けています。選考が長引くほど他社に先を越されるリスクが高まり、良い候補者に出会えても採用に至らないケースは少なくありません。
そのため、書類選考は2〜3営業日以内に結果を連絡し、面接は候補者の希望日から1週間以内に設定できる体制を整えることが理想です。
社内の承認フローが複雑な場合は、採用担当者に一定の裁量を持たせる仕組みを検討しましょう。
「対応が速い会社=候補者を大切にする会社」という印象が、選考通過率の向上にもつながります。
内定後のフォローで辞退を減らす
内定を出してからが、採用の正念場です。内定通知後に連絡が途絶える企業ほど辞退が増える傾向があり、不安を放置すると条件の近い他社に流れてしまうケースも少なくありません。
効果的なフォローとして特におすすめなのが、現場エンジニアとの面談機会の設定です。入社後の仕事やチームの雰囲気を具体的にイメージできるほど、候補者の不安は解消されやすくなるでしょう。
また、条件面の丁寧な説明や入社準備情報の共有も、安心感につながります。「この会社に入社する理由」を内定後にしっかり積み上げることが、辞退防止の鍵です。
エンジニア採用に苦戦したら知っておきたい「採用代行(RPO)」
手法を見直しても改善が見えない場合、原因はリソース不足や専門知識の欠如にあるかもしれません。そんなときに知っておきたい選択肢が、採用代行(RPO)です。
採用代行(RPO)とエージェントの違い
採用代行(RPO)という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。まずはよく比較されるエージェント(人材紹介)との違いから整理しましょう。
| エージェント | 採用代行(RPO) | |
| 料金体系 | 成功報酬型 | 月額定額制が多い |
| 手数料 | 理論年収の30〜35%が相場(エンジニア職は35〜40%超も) | 固定費用で予測しやすい |
| ノウハウ | エージェント側に蓄積 | 自社に蓄積できる |
エージェントは採用人数が増えるほどコストが膨らみやすく、採用ノウハウが自社に残りにくい構造があります。
一方、採用代行(RPO)は費用が安定しており、担当者と並走しながら採用の仕組みを社内に根付かせることも可能。エコーズでは、RPO導入によって採用コストを最大80%削減した事例も生まれています。
代行できる業務の範囲
採用代行(RPO)に依頼できる主な業務は以下のとおりです。
- スカウト文面の作成・送信
- 求人票の作成・改善
- 面接日程の調整・候補者へのリマインド
- 応募者対応・書類スクリーニング
- エージェントコントロール
- 採用数値の管理・レポーティング
これらの実務をRPOに任せることで、人事担当者は面接や意思決定といった本質的な業務に集中できます。
エコーズでは最短3日でのスタートが可能で、ダイレクトリクルーティング・リファラル採用・SNS採用・採用イベントなど15の採用手法を組み合わせた支援体制を整えています。
自社に合った採用代行の選び方
RPOを選ぶ際は、次の3つの視点で比較しましょう。
| 視点 | 確認ポイント |
| エンジニア採用に特化しているか | 技術理解のある担当者がサポートに関わっているか |
| 定額制かどうか | 費用が安定しており、複数ポジションの採用に対応できるか |
| 自走できる体制を作れるか | ノウハウ共有や内製化支援まで見据えているか |
エンジニア採用には技術的な知識が不可欠で、担当者がエンジニアの言葉を理解できるかどうかで求人票やスカウト文面の精度は大きく変わります。
また、RPOはゴールではなく、最終的に自社で採用が回る状態を目指せるパートナーを選ぶことが重要です。
なお、エコーズはエンジニア出身者が採用支援に関わり、技術的な観点からのサポートを強みとしています。
まとめ:エンジニア採用に苦戦する今こそ、仕組みを整えよう

エンジニア採用に苦戦する背景には、市場の構造的な変化と自社の採用活動の課題が重なっています。
まずは採用ターゲットの明確化・求人票の充実・スカウトの活用など、今日から始められる改善から手をつけてみるのがおすすめです。
それでも壁を感じる場合は、採用代行(RPO)という選択肢も検討してみてください。エコーズでは無料相談を実施中です。まずは、現状を整理するところから始めてみませんか。

