
求人を出しても応募が来ない、スカウトを送っても返信がない、採用できても早期離職が続く。このようなエンジニア採用の悩みを抱える人事担当者は多くいます。
採用がうまくいかない理由は、人材不足や競争激化といった市場環境だけではありません。実は、自社の採用設計や選考プロセスに改善の余地があるケースも少なくないのです。
そこでこの記事では、エンジニア採用が難しい理由と、採用成功につなげるための具体的な改善策を解説します。
目次
エンジニア採用が難しい市場側の理由

エンジニア採用がうまくいかない原因のひとつは、市場そのものの構造にあります。ここからは、市場側の理由を整理していきましょう。
エンジニアの数が足りず求人だけが増え続けている
IT化の波を受け、エンジニアを必要とする企業は業種を問わず増えています。一方でエンジニアの数はその速度に追いついていません。
経済産業省の試算*1では、2030年には最大約45万人のIT人材が不足するとされており、求人を出しても応募が集まりにくい状態は今後さらに続く見通しです。
厚生労働省のデータ*2でも、ITエンジニアの新規求人倍率は全職種平均を大きく上回って推移しています。このように、採用活動を始めた時点で、すでに需要に対して供給が不足している市場に飛び込んでいることを、前提として押さえておく必要があるでしょう。
*1出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」調査報告書(2019年3月)
*2出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年4月分)について(参考統計表)
優秀な人材ほど囲い込まれて市場に出てこない
スキルの高いエンジニアは、現職の企業から手厚い待遇で引き止められていることが多いと考えられます。給与の引き上げ、フレックスやリモートワークの導入、技術研修への投資といった施策が定着しており、転職を考える動機が生まれにくくなっているのです。
転職サイトに登録するのは、すでに転職意欲が高まった人材が中心です。求人票を出して応募を待つだけでは、本当に採用したいエンジニアには出会えないケースが多く、応募を待つ姿勢だけでは限界があることを採用活動の前提として認識しておきましょう。
フリーランス・副業の広がりで転職者が減っている
近年は、経験を積んだエンジニアほど会社に属さない働き方を選ぶ傾向が強まっています。フリーランスとして独立したり、本業を続けながら副業で案件を受けたりする人が増えており、正社員として転職市場に出てくる人材は以前より少なくなっているのです。
働き方の選択肢が広がったことで、企業が採用対象としてアプローチできる人材の母数は実質的に減少しています。その結果、求人倍率の数字以上に採用競争は激しくなっており、企業にはこれまで以上に戦略的な採用活動が求められています。
採用手法が複雑化して効果測定が追いつかない
求人サイトへの掲載をはじめ、スカウトメールの送信、社員紹介制度の活用、SNSでの情報発信など、採用手法の選択肢は年々増えています。しかし、複数の施策を並行して実施している一方で、「どの手法が実際の採用につながったのか」を正確に把握できていない企業は少なくありません。
効果検証を行わないまま施策を増やし続けると、採用コストや担当者の負担が膨らむだけになりがちです。重要なのは手法の数ではなく、自社に合った手法を見極めて精度を高めること。定期的に成果を分析し、効果の高い施策へリソースを集中させることで、採用成功の可能性を高められます。
エンジニア採用が難しい理由は自社側にもある

市場環境は変えられませんが、自社の採用活動のやり方は変えられます。応募が来ない、選考で離脱される、入社後にミスマッチが起きるといった悩みの多くは、自社側に原因があるかもしれません。
採用基準が曖昧で求人の訴求がぼやける
「エンジニア経験者歓迎」「幅広い業務に対応できる方」といった求人票は、応募者から見ると自分に当てはまるかどうか判断できません。
どんな言語やフレームワークを使っているか、チームは何人規模か、どんな開発フローで進めているかが書かれていないと、応募のハードルが上がるだけでなく、採用後のミスマッチも起きやすくなりかねません。
採用基準を明確にすることは求人票の精度を上げる第一歩であり、現場と人事が採用したい人物像を言語化するところから始まります。
自社の魅力をエンジニア目線で言葉にできていない
エンジニアが転職先を選ぶときに重視するのは、給与だけではありません。どんな技術スタックを使っているか、自分でアーキテクチャの判断ができる環境かどうか、チームのコミュニケーションはどうかといった情報が、選択の決め手になることが多いでしょう。
福利厚生の充実をアピールするだけでは、技術的な環境を重視するエンジニアの心には届きません。現場のエンジニアに「なぜこの会社を選んだか」「日々の仕事の何が面白いか」を聞き、その言葉を求人票やスカウト文に反映させることで訴求力は上がります。
企業と候補者の条件がかみ合っていない
求めるスキルや経験年数に対して、提示する給与が市場相場を下回っているケースは少なくありません。エンジニアは転職活動中に複数社を比較するため、条件の乖離がある企業は早い段階で候補から外れます。
「給与は社内規定に準じます」といった対応では、交渉の余地がないと受け取られてしまいます。競合他社がどのような条件を提示しているかを把握した上で自社の採用条件を設定し直すことが、応募数と選考通過率の改善につながるでしょう。
スキルを判断できる面接官がいない
人事担当者だけで面接を進めると、候補者が話す技術的な内容の深さや正確さを判断するのが難しくなります。たとえば、「Javaを3年使っていました」という回答が実際にどのレベルの業務経験を指しているのかは、技術的な知識がないと見抜けません。
その結果、スキルが不足している人材を採用してしまったり、逆に優秀な人材を見逃したりすることにつながりかねません。そこで、現場のエンジニアが面接に加わる体制をつくることで、採用精度は大きく変わります。
選考が遅く他社に先を越される
エンジニアは複数社の選考を並行して進めることが多く、企業側の対応スピードが内定承諾の可否を左右する場面も少なくありません。書類選考の結果通知に1週間、面接の日程調整にさらに1週間と時間がかかると、その間に他社の選考が進み、先に内定を受けて辞退につながる可能性があります。
特に優秀な人材ほど複数の企業から声がかかりやすいため、選考の遅れは大きな機会損失になりかねません。候補者へのレスポンスをできる限り迅速に行い、選考フロー全体を短縮することが、辞退率の低下や採用成功率の向上につながります。
関連記事:エンジニア採用がうまくいかないのはなぜ?原因と今すぐ使える改善策を徹底解説

エンジニア採用が難しいと感じる企業に共通する理由

採用活動を続けているのに結果が出ない企業には、共通して陥りやすいパターンがあります。いつも応募が少ない、内定を出しても断られるという状況が続いているなら、次の2点を確認してみてください。
条件を詰め込みすぎて応募が集まらない
たとえば、「フロントエンドもバックエンドも担当でき、インフラの知識もあり、マネジメント経験もある方」という採用要件を設定すると、市場にほとんど存在しない人物像になります。
理想を積み上げた結果、応募がゼロに近づくでしょう。採用市場ではエンジニアの求人数が求職者数を大きく上回っており、条件が厳しい求人は最初から候補に入りません。
採用したい人材に本当に必要なスキルと、あれば望ましいスキルを分けて整理し直すだけで、応募数は変わってきます。
内定後のフォロー不足で辞退が続く
内定を出した後に連絡が途絶えると、候補者は不安を感じ始めます。「本当に歓迎されているのか」「入社後のイメージが湧かない」という状態のまま時間が経つほど、他社と比較して辞退する確率が上がります。
そこで、内定から入社までの間に、担当業務の詳細を伝える機会を設けたり、チームメンバーと話せる場を用意したりすることで、候補者の不安は大きく和らぐでしょう。
採用のゴールは内定通知ではなく入社当日であることを前提に、フォローの設計を組んでおく必要があります。
エンジニア採用の難しさを解消する対策

自社側の原因が特定できれば、採用活動のやり方を変えることで状況は改善できます。まずは、取り組みやすいところから順番に手をつけていきましょう。
採用要件を必須と歓迎に分けて絞り込む
採用条件を整理する際は、「必須条件」と「あれば望ましい条件」を分けて考えることが重要です。優先順位を明確にすることで、自社が本当に求める人物像が見えやすくなるでしょう。
すべての条件を必須にすると、対象となる人材が大幅に限られ、応募が集まりにくくなる可能性があります。エンジニア不足が続くなかでは、理想の人材像にこだわりすぎず、条件に優先順位を付けることも大切です。必須条件を見直すことで、採用対象となる人材の幅を広げやすくなります。
求人票をエンジニア目線で書き直す
使っているプログラミング言語やフレームワーク、開発の進め方、チームの人数、日々取り組んでいる技術的な課題を具体的に書くことで、候補者が自分に合う仕事かどうかを判断しやすくなります。
エンジニアは求人票の技術情報をもとに応募するかどうかを決める傾向があり、情報が薄い求人票は読み飛ばされてしまうかもしれません。現場のエンジニアに求人票の内容を確認してもらい、実態と乖離した表現を修正するだけで、応募の質は上がるでしょう。
自社の魅力をエンジニアに響く言葉で伝える
給与や休暇制度の充実を並べるだけでは、技術的な環境や仕事の面白さを重視するエンジニアの心には届きません。
事業が解決しようとしている課題の面白さ、技術的な意思決定に携われる範囲、チームの雰囲気や働き方の自由度など、エンジニアが「ここで働きたい」と感じる要素を言語化することが、大手企業と差別化できるポイントになります。
そのため、現場で活躍しているエンジニアに「なぜこの会社を選んだか」を聞き、その言葉を選考の各場面で活かすことが効果的です。
選考を3ステップに絞ってスピードを上げる
選考フローは、書類選考・一次面接・最終面接の3段階程度に絞り、それぞれの段階で何を判断するのかを明確にしておきましょう。
判断基準が曖昧なままでは確認や調整が増え、選考に時間がかかってしまいます。
また、候補者からの連絡にはできるだけ早く返信し、面接日程も柔軟に調整することが大切です。応募から内定までを2週間程度で進められる体制を整えることで、他社に先を越されるリスクを減らせます。
現場エンジニアを面接に巻き込む
技術面の評価を人事担当者だけに任せるのではなく、現場のエンジニアが面接に参加する体制を整えましょう。技術力や実務で求められるスキルは、実際に現場で働くエンジニアだからこそ適切に評価できます。
また、候補者にとっても、入社後に一緒に働くメンバーと直接話せることは安心感につながるでしょう。技術面接を担当するエンジニアを決め、評価基準をあらかじめ共有しておくことで、より適切な採用判断がしやすくなります。
内定後のフォローで辞退を防ぐ
内定後、入社日までほとんど連絡を取らない企業は少なくありません。しかし、候補者はその間も他社と比較検討を続けているため、不安や疑問を解消できないまま時間が経つと辞退につながる可能性があります。
そのため、内定後には、担当業務や入社後の役割について説明する機会を設けましょう。また、チームメンバーと話せる場を用意することで、入社後のイメージを持ちやすくなります。
採用活動は内定を出して終わりではありません。内定後のフォローも含めて採用プロセスを設計することが大切です。
関連記事:エンジニアの定着率を上げるには?離職を防ぐ採用・組織のポイント
エンジニア採用が難しいなら採用の入口から見直す

求人サイトへの掲載だけでは出会えない人材がいます。ここからは、企業側から動くことで採用の幅が広がる方法を紹介します。
まだ転職を考えていない人材にも声をかけるスカウト活用
転職を積極的に考えていない人材にもアプローチできるのが、スカウト型の採用サービスです。求人への応募を待つだけでは出会えない人材に接触できるため、採用の可能性を広げられます。
スカウトを送る際は、候補者のスキルや経験を確認したうえで、一人ひとりに合わせたメッセージを作成することが大切です。定型文を一斉送信するだけでは、返信につながりにくい場合があります。
また、現場のエンジニアの視点を取り入れることで、仕事内容や働く環境の魅力をより具体的に伝えられます。スカウトは数を増やすだけでなく、一通ごとの質を高めることが重要です。
社内エンジニアの紹介から採用につなげるリファラル活用
社員から知人を紹介してもらうリファラル採用は、自社の文化や働き方を理解した人材と出会いやすい手法です。紹介する側が会社の特徴や仕事内容を把握したうえで声をかけるため、入社後のミスマッチを防ぎやすいというメリットがあります。
制度を活用するには、紹介に対するインセンティブを用意するとともに、現場のエンジニアへ採用したい人物像を共有しておくことが大切です。即効性は高くないものの、中長期的に採用力を強化したい企業に適した採用手法といえるでしょう。
人材紹介会社と認識を合わせて紹介精度を上げる
人材紹介会社を活用すると、候補者を探す手間を減らし、効率的に採用活動を進められます。ただし、自社の採用基準や求める人物像を十分に共有していないと、希望に合わない候補者の紹介が続く可能性がある点は注意が必要です。
例えば、「エンジニア経験者を採用したい」という情報だけでは、紹介会社も適切な人材を選びにくくなります。必要なスキルや技術スタック、チームの特徴などを具体的に伝えることが大切です。
人材紹介会社と認識をすり合わせておくことで、紹介の精度が高まり、採用活動をよりスムーズに進めやすくなるでしょう。
エンジニア採用が難しい企業におすすめの採用代行

採用活動の改善策がわかっていても、求人票の作成やスカウト送信、面接の日程調整、エージェント対応などの業務に追われ、十分な時間を確保できない企業は少なくありません。
採用代行を活用すれば、こうした実務を専門家に任せながら、自社は面接や採用判断といった重要な業務に集中できます。
エコーズの採用代行サービスでは、エンジニア出身のメンバーが採用要件の設計から求人票の作成、選考管理までを一貫してサポート。技術的な視点も踏まえながら採用基準を整理できるため、人事担当者の負担軽減はもちろん、現場との認識のズレも防ぎやすくなります。
エンジニア採用に課題を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ:エンジニア採用が難しい理由と今すぐできる改善策

エンジニア採用がうまくいかない場合は、市場環境による要因と、自社の採用活動における課題を分けて考えることが大切です。市場そのものを変えることはできませんが、採用要件の見直しや求人票の改善、選考スピードの向上、採用チャネルの最適化など、自社で改善できるポイントは数多くあります。
「何から取り組めばよいかわからない」「採用活動に十分なリソースを割けない」といった場合は、採用代行の活用も選択肢の一つです。エコーズでは無料相談を実施しており、現状の課題整理からサポートしています。
エンジニア採用にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
