「エンジニアの採用単価が高すぎる」そう感じながらも、相場が分からず、打ち手を見失っている採用担当者は少なくありません。
エコーズは、エンジニア採用の現場支援を通じて、採用単価が高騰している企業と、同じ市場環境でも成果を出している企業の両方を見てきました。
その差は、特別な予算や知名度ではなく、採用単価の捉え方と向き合い方にあります。
本記事では、エンジニア採用単価の相場や内訳を整理したうえで、なぜ単価が上がり続けているのかという構造的な理由を解説します。
さらに、実際の支援事例を交えながら、採用成果を維持しつつコストを最適化するための現実的な戦略をお伝えします。
目次
エンジニア採用単価の平均相場
エンジニアの採用単価について、市場データを「経験レベル」と「職種」の2軸で整理しました。
自社の採用ターゲットと照らし合わせ、現在のコストが適正範囲内かをご確認ください。
【経験レベル別】新卒・未経験・経験者の相場比較
一般的な相場目安は以下のとおりです。
| ターゲット層 | 平均採用単価 | 傾向 |
| 新卒・未経験 | 50万〜90万円 | ポテンシャル採用枠 |
| 経験者 | 150万〜200万円〜 | 即戦力ニーズにより高騰中 |
新卒・未経験・経験者の採用単価相場は、あくまで「平均」の話に過ぎません。
特に、エンジニア経験者ハイクラス層においては、年収の70%〜200%といった手数料での獲得競争が起きるケースも珍しくなく、外部サービスに依存した採用は、年々コストが膨らみやすい構造になっています。
こうした背景から、エンジニア採用では外部依存を前提にするのではなく、自社で候補者を獲得できる状態をつくれるかが重要になります。
【職種別】Web・アプリ・インフラ等の相場比較
同じエンジニアでも、専門領域の需給バランスによって、採用単価は大きく変動します。
Web/アプリ系は需要過多で150万円以上が一般的である一方、年収水準の高いPMやコンサル職では250万円以上になるケースがあります。
なかでも近年はインフラ領域の高騰が顕著で、クラウド(AWS等)経験者は需要が供給を上回り、採用難易度が大きく高まっています。
| 職種 | 採用単価目安 | 採用難易度 |
| PM/コンサル | 250万円〜 | ★★★★★(激戦) |
| SRE/インフラ | 200万円〜 | ★★★★★(激戦) |
| Web/アプリ | 150万円〜 | ★★★★☆(高騰) |
| 社内SE | 100万円〜 | ★★★☆☆(安定) |
つまり、希少性の高い専門職ほど、単価競争に参加するという発想を持つべきではありません。
自社がエンジニアに選ばれる理由を設計できているかどうかが重要です。
エンジニア採用単価とは?
エンジニアの採用単価とは、エンジニア1人を採用するまでに発生した外部・内部コストの合計を指します。
エンジニア採用では、紹介手数料や求人広告費といった外部支出に加え、採用担当者や面接官となるエンジニアの工数など、社内リソースも消費されます。
そのため、エンジニアの採用単価を正しく把握するには、外部コストだけでなく内部コストも含めて捉えることが重要です。
ここからは、それぞれのコストについて詳しく見ていきます。
外部コスト
外部コストは、社外への支払いで発生する費用です。
たとえば、以下は外部コストに該当します。
- 求人広告費
- 人材紹介手数料
- イベント出展費など
コスト削減を考える際、真っ先に見直したくなるのが外部コストでしょう。
しかし、外部コストを安易に削減すると、十分な母集団を形成できず、採用活動が長期化するリスクがあります。
その結果、エンジニア不足によるプロジェクト遅延や機会損失など、目に見える削減額以上の損害につながる可能性があるのです。
内部コスト
採用活動において見落とされがちなのが、以下のような社内リソースにかかる内部コストです。
- 採用担当者の人件費
- エンジニア面接官の工数
- リファラル手当など
特に意識すべきは、エンジニアの稼働時間そのものがコストになる点です。開発業務を中断して面接に対応する時間は、金額として可視化しにくいものの、採用単価に影響を与えています。
しかも、合否の基準が曖昧なまま迷って面接回数を増やすと、エンジニアの稼働時間の浪費に繋がります。こうした内部コストは把握されにくいため、採用活動全体のコスト構造を見誤る原因にもなるのです。
そこで次に、外部コストと内部コストを含めた採用単価の計算式と算出ルールを整理していきます。
エンジニア採用単価の計算式と算出ルール
採用単価の基本計算式はシンプルです。
採用コスト総額(外部+内部)÷ 採用人数
たとえば、総額400万円をかけて5名採用した場合、一人あたりの単価は80万円と算出されます。
| 項目 | 計算式 | 具体例 |
| 採用単価 | (外部コスト + 内部コスト) ÷ 採用人数 | 400万円 ÷ 5名 = 80万円 |
まずは、採用活動全体を俯瞰した単価を把握することが、改善に向けたスタートラインです。
ただし、全体平均だけを見ていては、本質的な課題や改善点は見えてきません。年度や雇用形態、職種の異なる採用をまとめて計算すると、個別のコスト構造が埋もれてしまうためです。
重要なポイントは、採用単価の解像度を上げることです。
職種別(サーバーサイド vs SRE)やチャネル別(エージェント vs スカウト)といった切り口で算出することで、どこに無駄があり、どこにコスト削減の余地があるかが初めて可視化されます。
採用手法別のコストと特徴
採用単価は、計算式だけで決まるものではありません。実際には、どの採用手法を選ぶかによって、外部コストと内部コストの配分が大きく変わります。
そのため、採用単価を適正化するには、採用チャネルごとの費用感と特性を理解することが重要です。
ここからは、主要な採用チャネルごとの「費用感」と「メリット・デメリット」を比較します。コストの安さだけでなく、自社のリソース状況に合わせた選択が不可欠です。
| 手法 | 費用感 | メリット | デメリット |
| 人材紹介 | 年収の35%〜 | 初期費用0円、工数小 | 単価が最も高い |
| 求人広告 | 30万〜150万円 | 多くの候補者の目に留まる | 掛け捨てリスクあり |
| ダイレクト | 数万〜+成功報酬 | 単価抑制、潜在層へリーチ | 運用工数が膨大 |
人材紹介サービス
エンジニア採用における人材紹介サービスの手数料相場は、年収の35〜40%が一般的です。ハイクラス人材では、紹介会社間で獲得競争が発生しているため、年収の100〜200%に達するケースもあります。
人材紹介は、社内に採用ノウハウやリソースが不足している場合でも、採用を迅速に進められる点がメリットです。
一方で、依存が続くと自社で母集団を形成できず、採用単価が下がらない構造に陥りやすくなります。
重要なのは、人材紹介を採用戦略全体の中でどう位置づけるかです。緊急性の高い採用に活用しつつ、自社チャネルを並行して育てることで、採用単価と再現性の両立が可能になります。
求人広告媒体
エンジニア採用における求人広告媒体は、30万〜150万円程度の掲載費用が一般的です。人材紹介と比べると初期コストを抑えやすい手法といえます。
求人広告のメリットは、一度に多くの候補者にリーチできる点です。自社の技術スタックや開発環境、カルチャーを直接伝えられるため、認知拡大や母集団形成に向いています。
一方で、エンジニア市場では応募数が集まりにくく、掲載しても成果が出ない「掛け捨て」リスクが高い点がデメリットです。
重要なのは、求人広告を出すこと自体ではなく、誰に何を伝える求人なのかを設計した上で使うことです。訴求内容を明確にし、他チャネルと組み合わせて運用することで、採用単価と成果の再現性を高められます。
ダイレクトリクルーティング
データベース利用料に加え、採用決定時に成功報酬が発生するモデルです。人材紹介と比べ、採用単価を大きく抑えられる点が特徴です。直接スカウトを送れるため、求めるスキルや経験を持つエンジニアにピンポイントでアプローチできます。
一方で、最大のデメリットは運用工数の大きさです。候補者選定やスカウト文面の作成には、継続的な時間と労力が求められます。
重要なのは、運用体制を前提に導入を判断することです。現場や採用担当が関与できない場合は成果につながりにくく、他手法との役割分担を設計したうえで活用する必要があります。
このように、どの採用手法にもコスト構造上の課題があり、単一の手法で採用単価を下げ続けることは難しいのが実情です。
では、なぜエンジニアの採用単価は、ここまで上がり続けているのでしょうか。
エンジニアの採用単価が高騰する理由
エンジニアの採用単価が高騰する理由は、一時的な流行ではなく、市場の構造的な要因によるものです。
構造的なIT人材不足
エンジニアの採用単価が高騰し続けている最大の要因は、構造的なIT人材不足にあります。
経済産業省の推計*1では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。すでに現時点でも、エンジニアの有効求人倍率は10倍を超える水準にあり、1人のエンジニアを複数企業が奪い合っている状況です。
このような売り手市場では、年収相場そのものが押し上げられます。エンジニア採用の多くで利用される人材紹介サービスは年収連動型のため、年収が上がれば採用単価も自動的に上昇する構造になっているのです。
*1出典:みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査」(経済産業省委託事業)
即戦力志向によるターゲットの狭まり
即戦力志向の強まりが、エンジニア採用単価を押し上げる要因になっています。
DX推進の流れを背景に、多くの企業がハイスキルな即戦力エンジニアを求めるようになりました。その結果、「実務経験3年以上」「モダン技術の経験必須」など、要件が過度に厳しく設定されがちです。
こうした要件は、「ごく一部のスーパーエンジニアのみを採用対象にする」ことと同義です。必然的に候補者母数は減り、企業同士の奪い合いが発生し、採用難易度と単価の双方が引き上げられます。
つまり、必要以上に高いスキル要件を課すこと自体が、採用単価高騰を招いている構造といえます。
自社の事業フェーズや育成体制を踏まえ、人材要件を現実的な水準に見直すことが、採用戦略を立て直す第一歩になります。
採用コストを抑える具体的な方法
採用コストは、ただ削るものではなく、成果につながる使い方に変えるべきものです。
ここからは、採用成果を維持しながら、コストパフォーマンスを高める具体的な方法を解説します。
採用要件の緩和とポテンシャル採用
エンジニアの採用単価を抑えるには、競合と同じ人材を奪い合わない要件設計が有効です。
即戦力に限定すると母集団が極端に狭まり、結果として単価が高騰します。未経験者や経験の浅い層を含め、育成前提で採用することで選択肢は大きく広がります。
重要なのはスキルレベルを下げることではなく、技術的親和性を見ることです。Java経験者がGoを習得しやすいように、言語や領域間のポータブルスキルに着目してください。
必須スキルを現場と再定義することが、採用難易度とコストを同時に下げる近道になります。
リファラル採用の制度化
リファラル採用は、エンジニアの採用単価を大きく下げられる有効な手法です。
紹介手数料が発生せず、カルチャーフィットもしやすいため、コストと定着率の両面で優れています。
ただし「良い人がいたら紹介して」と声をかけるだけでは機能しません。成果を左右するのは、社員が自社を誇れる状態にあるかどうかです。エンゲージメントが低いままでは、紹介は生まれません。
採用ピッチ資料を配布し、社員が語りやすい環境を整えることで、リファラルは再現性のある採用手法になります。
ダイレクトリクルーティングの運用強化
ダイレクトリクルーティングは運用次第で、最もエンジニアの採用単価を抑えられる手法です。
返信率が低い原因は、スカウト数ではなく質にあるケースが大半です。エンジニアは定型文の一斉送信を瞬時に見抜きます。
GitHubやQiitaを確認し、コードやアウトプットに具体的に触れたパーソナライズした一通を送ることで、反応は大きく変わります。
手間を惜しまず質を高めることが、低単価かつカルチャーフィットしたエンジニア採用を実現します。
エンジニアの採用コスト削減と成功を両立した導入事例
ここからは、エコーズが実際に支援した企業の中から、
エンジニア採用単価の高騰という課題を、戦略的に克服した事例を紹介します。
理論や手法だけでなく、「実際に何を変え、どのような成果が出たのか」を具体的に見ていきます。
【コスト削減事例】スカウト運用見直しで採用単価80%減
IT×金融系、従業員500名規模の企業では、金融系ネットワークエンジニアを年間20名採用する計画がありました。しかし、ダイレクトリクルーティングは反応が出ず、高額な人材紹介への依存が続いていました。
エコーズはスカウト代行ではなく、現場責任者へのヒアリングを通じて採用課題を再整理。人事・現場と連携した週次定例を設け、「なぜあなたなのか」を具体的に伝えるスカウトへ刷新しました。
ターゲット要件と訴求軸を見直し、ABテストを継続。結果、2ヶ月でスカウト返信率は4倍に向上し、採用単価を人材紹介比で80%削減。属人化していた採用を、再現性のある仕組みへ転換しました。
スカウト返信率4倍、採用コスト80%削減を達成。人事と現場を巻き込む戦略的RPO支援。
【スピード採用事例】IT知見不足を補い2ヶ月で採用決定
大手SIerグループ企業では、年収1,000万円超のハイレベルIT人材採用を目指していましたが、人事部門にIT知見がなく、事業部門との要件すり合わせが進まず採用が停滞していました。
エコーズは経営層と直接連携し、技術要件だけでなく「なぜこのポジションが必要か」という背景まで言語化。その内容を反映したスカウト設計と丁寧なスクリーニングを実施しました。
結果、2ヶ月で面談数が安定的に創出され、1名の採用に成功。採用単価は約100万円と、人材紹介の約3分の1に抑えられました。
人事部門のIT知見不足を補い、ハイレベル人材の採用を2ヶ月で実現
まとめ
エンジニア採用単価の高騰は、データ上の話ではなく、現場で日々起きている現実です。
エコーズは、要件が固まらないまま時間だけが過ぎていく採用現場や、エージェント費用が膨らみ続ける企業を数多く見てきました。そこで感じるのは、採用単価の問題は「予算」ではなく、採用の向き合い方そのものに原因があるケースがほとんどだということです。
エージェント任せで待つのか、自社で候補者と向き合い、言葉を磨き、試行錯誤を重ねるのか。その差が、結果として採用単価に表れます。
現場と対話し、要件を言語化し、泥臭く改善を回す。このプロセスを積み重ねれば、市場が厳しい中でも、自社に本当に合うエンジニアは採用できます。それが、エコーズが現場支援を通じて確信している事実です。

